公開日: 2025-10-08
減価償却の基本と節税対策
減価償却とは?
減価償却とは、企業が購入した建物や機械などの固定資産の取得費用を、その資産の使用可能期間(耐用年数)にわたって費用として配分する会計上の処理方法です。
なぜ減価償却が必要なのか?
例えば、2,000万円の機械を購入した場合、その費用を購入した年度に一度に計上すると、その年度の利益が大きく減少してしまいます。しかし、その機械は数年間使用するものです。
減価償却を行うことで、固定資産の取得費用を耐用年数にわたって分散させ、各事業年度の費用と収益のバランスを適正に保つことができます。これにより、企業の財政状態や経営成績をより適切に表すことが可能になります。
ポイント: 減価償却は「費用配分の原則」に基づいており、資産の実際の価値減少を正確に反映するものではなく、会計上の処理方法です。
減価償却の計算方法
主な減価償却の方法には、以下の2つがあります。
定額法
毎年同じ金額を償却していく方法です。
計算式: 取得価額 ÷ 法定耐用年数 (または 取得価額 × 定額法の償却率)
定率法
初年度の償却額が大きく、徐々に減少していく方法です。
計算式: 未償却残高 × 定率法の償却率
具体例で見る減価償却
例題: 取得価額300万円、耐用年数6年の普通車を購入した場合
定額法での計算
年間償却額 = 300万円 ÷ 6年 = 50万円/年
| 年度 | 減価償却費 | 減価償却累計額 | 期末帳簿価額 |
|---|---|---|---|
| 取得時 | - | 0円 | 300万円 |
| 1年目 | 50万円 | 50万円 | 250万円 |
| 2年目 | 50万円 | 100万円 | 200万円 |
| 3年目 | 50万円 | 150万円 | 150万円 |
| 4年目 | 50万円 | 200万円 | 100万円 |
| 5年目 | 50万円 | 250万円 | 50万円 |
| 6年目 | 499,999円 | 2,999,999円 | 1円 |
定率法での計算
定率法の償却率 = 0.333 (普通車の法定償却率)
| 年度 | 減価償却費 | 減価償却累計額 | 期末帳簿価額 |
|---|---|---|---|
| 取得時 | - | 0円 | 300万円 |
| 1年目 | 999,000円 | 999,000円 | 2,001,000円 |
| 2年目 | 666,333円 | 1,665,333円 | 1,334,667円 |
| 3年目 | 444,444円 | 2,109,777円 | 890,223円 |
| 4年目 | 296,444円 | 2,406,221円 | 593,779円 |
| 5年目 | 296,444円 | 2,702,665円 | 297,335円 |
| 6年目 | 297,334円 | 2,999,999円 | 1円 |
減価償却のメリット
- 節税効果: 減価償却費は損金(経費)として計上できるため、課税所得を減らすことができます。
- 適正な期間損益計算: 費用を使用期間に応じて配分することで、各期の利益を適正に計算できます。
- 資金繰りの改善: 実際にはキャッシュアウトしていない費用を計上できるため、キャッシュフローが改善します。
減価償却に関する注意点
重要:
- 耐用年数は法令で定められており、資産の種類によって異なります。
- 個人事業主の減価償却の方法は、原則、定額法になります。
- 期中取得の場合は、月割計算が必要です。
- 購入金額(取得価額)が30万円未満である場合には特例があります。
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